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稼働率と可動率 決定版!パターン3


◆設備の可動パターン3、残業対応・設備停止があるとき

待機時間など何らかの理由で設備が停止していた時間がある場合、当然稼働時間は長くなります。
稼働パターンの図

図 稼働パターン3

◆残業や停止時間のあるパターンでの稼働率・可動率計算

パターン3

パターン2を文章で書き起こすと次のようになります。

8時00分 から  8時30分 までは 朝礼の時間

8時30分 から  9時30分 までは 始業点検と調整の時間

9時30分 から 10時00分 までは 稼働時間

10時00分 から 11時00分 までは 自責停止からの復旧時間

11時00分 から 12時00分 までは 稼働時間

12時00分 から 13時00分 までは 休憩時間

13時00分 から 13時30分 までは 後工程待ちの待機時間

13時30分 から 15時00分 までは 稼働時間

15時00分 から 15時30分 までは 後工程待ちの待機時間

15時30分 から 17時00分 までは 稼働時間

17時00分 から 17時30分 までは 後工程待ちの待機時間

17時30分 から 18時30分 までは 稼働時間

18時30分 から 19時00分 までは 就業点検と終礼の時間

 

パターン3で実際に稼働していた時間(=生産活動を行っていた時間)はA=5.5時間であることが分かります。

所定可動時間は、Y(X-K)=6時間

また可動時間は、Z(W-K)=8時間となります。

よって稼働率と可動率は次のようになります。

 稼働率=A/Y=5.5/6=91.7%

 可動率=A/Z=5.5/8=68.8%

 

この場合の生産実績をサイクルタイムから計算します。

 生産量=5.5(時間)×3600(秒)/30(秒/個)=660(個)

 

図から、終業時間が19時で2時間残業していることが分かります。

稼働率と可動率、所定可動時間から残業時間が計算できます。ここで稼働率と可動率の比を総合労働率と定義します。

 総合労働率=稼働率/可動率=91.7%/68.8%=133.4%

 

 (総合労働率―100%)×所定可動時間Y=(133.4%-100%)×6=2(時間)

 

 稼働時間に何らかの停止時間が含まれてしまっている場合、残業時間の計算結果は実績時間と合いません。

 実績と合わない場合は停止時間を正確にカウントできる設備に改善する必要があります。

 


パターン3 逆算

1日当たり工程1の生産量が660(個)だった場合の稼働率を計算してみます。

稼働率=生産数量/生産能力=660/720=91.7% となります。

 

サイクルタイム30秒/個から稼働時間Aを計算してみると次の通りになります。

 A=660(個)×30÷3600秒=5.5(時間)

 

残業2時間で完了しているため設備が動くべき時間、可動時間Zは次の通りになります。

 Z=A+B+C+D=W-K=11-3=8(時間)

 

よって「パターン3通常状態で残業2時間」の場合、稼働率と可動率は次の通りになります。

 

 稼働率=A/Y=5.5/6=91.7%

 可動率=A/Z=5.5/8=68.8%

 

生産能力720個に対し660(個)生産した日に2時間の残業が発生していた場合、何らかの理由で停止が発生しています。

 実体と合わない場合は「稼働率が低いのに残業しているのはおかしい!」と言う前に停止時間を 以下略~

 


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