· 

本質安全設計 ゼロ災でいこう!ご安全に!その3

◆リスクの低減~3ステップメソッド~

1.はじめに

[ステップ1]本質安全設計

[ステップ2]工学的処置

[ステップ3]使用上の情報

 

ステップ1本質安全設計は危害の程度と危害の発生確率の両方を低減するアプローチになります。

ステップ2工学的処置は発生確率を低減するアプローチになります。

ステップ3使用上の情報は発生確率を低減するアプローチになります。

 

本質安全設計は危害の程度と危害の発生確率を低減させる対策になります。
図 リスクの定義と3ステップメソッドによるアプローチ

今回はステップ2、ステップ3のお話しです。

2.[ステップ2] 工学的処置

安全防護や付加保護による対策とも称されます。カバーなどで覆ってしまい危険源に触れないようにしてしまいます。

本質安全設計でどうしても対処できなかった場合に施します。

対処できない=リスクを再評価しても許容できる値にならない。

 


*リスクの再評価

危害の程度と発生確率をそれぞれ評価します。

 

[程度の評価例]

評価点 3

死亡や体の一部に永久的な損傷を及ぼす。

 

評価点 2

1か月未満の休養を必要とする怪我を生じる。

 

評価点 1

かすり傷程度のもの

 

[発生確率の評価例]

評価点 3

かなりの集中力をもって扱っても災害に繋がる。

 

評価点 2

うっかりで災害に繋がる。

 

評価点 1

意図的な行為で災害に繋がる。

 

 

*発生確率を評価するためには人の行動についての理解が必要です。人の行動は別途解説予定です。

 

(2)程度と発生確率の評価点を積算し、優先順位を3つに分けます。

[優先順位指標例]

優先順位Ⅲ 積算結果(9,6)

→すぐやる

 

優先順位Ⅱ 積算結果(4,3)

→計画的にやる

 

優先順位Ⅰ 積算結果(2,1)

→機をみてやる

 


例えば電源ケーブルは通常被覆(カバー)で覆われています。これは安全対策として他にやりようがないからです。

本質安全の危険除去に基づいて、電気容量を減らしたところでむき出しになっていては使用中に触れてしまい感電してしまいます。

このように時には本質安全設計の対処が取れない場合があり、この場合にはカバーで覆ってしまいます。

なお、産業用機械の配電盤の中にはブスバーといってむき出しの金属板に電気が流れていたりしますが、この場合は通電中は扉が開かないように出来ます(フール・プルーフ)。

 

配電盤の盤面でブレーカーを操作するための操作とって。ブレーカーをOFFにしないと扉を開けられない、扉を開けた状態ではブレーカーを操作できないタイプのものもあります。

もちろんその気になれば無効化できるのでこれさえあれば100%安全というものではありません。

というか安全に100%はあり得ません。

扉が開いていてもON・OFF操作ができる、ONでもOFFでも開閉できるタイプもあります。

 

操作取っ手でブレーカーを操作する配電盤です。
図 操作とってのついた配電盤

3.[ステップ3]使用上の情報

使用上の情報とは、使用者に情報を伝えるための手段(例えば、文章、語句、標識、信号、記号、図形)を個別に、または組合わせて使用する保護方策のことです。

よくわからないので3つに分けます。

 

①警報装置

製品に取り付けたシグナルタワーやパトランプ、あるいは単純にLEDランプで状態をお知らせするものです。

 

ONOFF状態を緑LEDの点灯でお知らせする延長ケーブルなどがあります。

個別に設けられたスイッチにONOFF状態が分かるようLEDランプがついています。
図 延長ケーブルの例

②表示、警告文

製品に張り付けたシールで危険をお知らせするものです。

ノートPCの後ろの表示。CEマークなどがあります。

 

ノートPCの裏面にはCEマークなどの表示があります。
図 ノートPC裏面

取扱い説明書に危険について記載するものです。

 

図はよくある安全上の注意事項。ビックリマークで危険・警告・注意を記載しています。

 


使用上の情報はリスク低減最後の手段です。

基本はステップ1、2で危険な使い方ができないようにするのがベストですが、正しい使い方をしないと危険な場合の手段です。危険な状態に対し何も対策せずに使用上の情報で対処しようとするのは間違いです。

極端な例ですが、電源ケーブルに裸電線を使用して使用上の情報として取説に「危険!電源ケーブルを触ると感電します。触らないでください。」と書いてもダメです。

 

詳細は端折りますが、昔「AとBの作業をしてからCをしてください、最初にCを行うと危険です。」という手順書を作ろうとしたことがあります。手順書を書くのではなくAとBを済ませてからでないとCができないようにする方法を考えるべきでした。

使用上の情報で何とかしようとすると、「書けばいい。読まない奴が悪い」「クレームあっても書いてあれば大丈夫」という思考になる恐れがあります。

設計者としての倫理観の話も大切ですが、そもそもそのような思考で作られた製品はユーザーから受け入れられないので、使用上の情報に頼らずに誰が使っても安全な製品を設計する必要があると思います。

 

前回は ご安全に!その2

次回は