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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R1 Ⅲ-3

令和1年

Ⅲ-3

図に示すように、円柱(長さl、断面積A1、縦弾性係数E1、線膨張係数α1)と円筒(長さl、断面積A2、縦弾性係数E2、線膨張係数α2)を同軸で組合わせて、両端を剛体板で接合している。円柱と円筒の両方に応力が生じていない状態から、温度がΔTだけ上昇したとき、円柱と円筒の伸び量Δlとして、最も適切なものはどれか。

ただし、α1<α2とし、円柱と円筒の半径方向の変形は無視できるものとする。

 

 

図3
図3

解答

 

解説

[解くために必要な知識と周辺知識]

 長さL、線膨張係数αの材料をΔT加熱したときの伸びΔLは次の通りです。

  ΔL=αLΔT

 

 応力σとひずみεには次の関係があります。

  ε=ΔL/L

  σ=Eε

  σ=EΔL/L=P/A

 ∴ΔL=PL/AE

 

 熱応力の問題は大別すると2つのパターンに分かれます。

 

パターン1 

 長さLの金属がその両端を剛体で拘束されている。温度ΔTを加えたときに生じる圧縮力を問う。

3.1に示すようにLの棒材をΔT加熱すると前述のようにΔL=PL/AEの伸びが生じます。しかし両端を剛体で拘束されているため、ΔL圧縮された状態と見ることができます。この圧縮力PはΔLの式を変形して得られます。

  P=AEΔL/L

*パターン1にでてくる関係式は覚えておきましょう。

 

 

 

 

図3.1
図3.1

 

パターン2

 

 長さLの異なる金属(金属1、金属2)の両端を剛体で接合する。温度ΔTを加えたときに生じる伸び量ΔLを問う。

 図3.2に示すように温度ΔTを加えたとき、金属12はそれぞれΔL1、ΔL2伸びようとします。線膨張係数がα1<α2とすると、金属1より金属2の方がより伸びるという事です。

しかし今、2つの金属、円柱と円筒は両端を剛体で接合されているため、金属1は本来ΔL1しか伸びないのですが、剛体を通じて金属2に引っ張られてさらに伸びます。この引張力による伸び量をΔL1とします。

 

ΔL1’=Lα1ΔT

 ΔL1”=PL/E1A1

ただし、Pは金属1に生じる引張力であり、その大きさは金属2に生じる圧縮力と同じになります。

 

金属1の全体の伸びΔL1はこの2つを合わせたものになります。

 ΔL1=ΔL1’+ΔL1 (1

 

逆に金属2はΔL2だけ伸びようとするのですが、やはり剛体を通じて金属1の抵抗を受けて伸びきることができません。この抵抗(圧縮力)による縮み量をΔL2とします。

ΔL2’=Lα2ΔT

 ΔL2”=-PL/E2A2

ただし、Pは金属2に生じる圧縮力。

 

金属2の全体の伸びΔL2はこの2つを合わせたものになります。

 ΔL2=ΔL2’-ΔL2 (2

 

 金属1と金属2の伸び量は剛体で接合されているため同じになります。

  ΔL1=ΔL2

 

 

図3.2
図3.2

*パターン2は、この後の解答も含めて、計算は複雑に見えますが解き方自体はそこまで複雑ではありません。できれば覚えておきましょう。

 

では問題を解いていきます。

 


 (3)式より

 Lα1ΔT+PL/E1A1=Lα2ΔT-PL/E2A2

 α1ΔT+P/E1A1=α2ΔT+P/E2A2

   P/E1A1+P/E2A2=α2ΔT-α1ΔT

   (1/E1A1+1/E2A2)P=(α2-α2)ΔT

   P(E1A1+E2A2)/E1A1E2A2=(α2-α2)ΔT

   P=(α2-α2)ΔTE1A1E2A2/(E1A1+E2A2)

 

 ひずみの式より、ε=ΔL/L⇒ΔL=εL

 ここで円柱と円筒の伸び量ΔL、初期長さLは同じでありそのひずみも同じとなります。円柱の歪に着目します。

 

◆熱によるひずみε1h

 ε1h=α1ΔT   (a)

◆引張りによるひずみ

 ε1P=P/E1A1   (b)

 

 全体の歪は(a)(b)を加えたものになります。

 ε=α1ΔT+P/E1A1

 

 ΔL=εL=(α1ΔT+P/E1A1)L

 

 この式に先に求めたPを代入します。

 

  ΔL=εL=[α1ΔT+{(α2-α2)ΔTE1A1E2A2/(E1A1+E2A2)}/E1A1]L

 この式を整理すると次式を得ます。

 

 ΔL=(E1A1α1+E2A2α2)ΔTL/(E1A1+E2A2)  //