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技術士一次試験直近の過去問解説3

今回は令和一年再試験、熱工学からの問題です。

技術士一次試験の機械部門過去問の中でも直近3年間、2017年から2019年の中で、え?これ難しくね?って思った問題をピックアップして解説します。2019年は再試験があるので4回分の過去問からのピックアップです。

 

解説して欲しい問題があったらご連絡ください。

  

*本問題はもともとPV=RT(R:モル気体定数[J/(mol・K)])を使って質量を算出しそこからモル質量(酸素は32)とモル体積22.4L/molを使って質量を算出していました。

読者の方からPV=mRT(R:気体定数[J/(kg・K)])を使えばいいと指摘を受けましたので更新します。一応、過去の分も後半に残しておきます。

難しく考えすぎて遠回りした典型のような例です。ご参考に。

 


それでは問題です。

-27 40Lボンベの中に温度20℃、圧力15MPaの酸素が入っている。この酸素を使用して充分に時間が経った後、ボンベの中の温度は15℃、圧力は3.0MPaとなった。酸素を理想気体とした仮定した場合、使用した酸素の質量として、最も近い値はどれか。ただし、酸素の気体定数を260J/(kgK)とする。

 

0.63kg

85kg

6.3kg

8.5kg

 

63kg


PV=mRTを使って解説していきます。

解答のポイント

(1)温度20℃、圧力15MPaの酸素の質量を求める。

(2)温度15℃、圧力3.0MPaの酸素の質量を求める。

(3)上記(1)と(2)の差を取れば使用した酸素の質量を計算できる。

ここまでのイメージを図1に示します。左の図の白い雲が(1)の状態を表します。右の図の黒い雲が使用した酸素量です。白い雲と黒い雲との差がボンベ内に残った酸素量です。

 

図1 酸素使用量のイメージ図
図1 酸素使用量のイメージ図

解答

①PV=mRT➔m=PV/RT=15×(10^6)×40×(10^-3)/(260×(273+20))=7.9kg

②PV=mRT➔m=PV/RT=3×(10^6)×40×(10^-3)/(260×(273+15))=1.6kg

③7.9-1.6=6.3kg

 

よって解答は6.3kgとなります。


本記事の最後に自分の恥をさらすようですが、もともと私が遠回りしていた解答を自戒の意味を込めて書き残しておきます。

 

受験生の貴方にエールを。ファイトです!

 

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元の解答です。

クセがあるなぁ、とか生意気言っていますが自分が遠回りしていただけでした(;^_^A

コメント

難しいというかここでこの問題を出すか?!という感じです。ボイル・シャルルの式pv=RTあるいはpv/T=R一定を使って初期状態の酸素量とボンベ内に残った酸素量とを引くことで使用した酸素量が計算できます。ちなみにボイル・シャルルの法則は熱サイクルを表すために必要な重要な公式であり熱工学の範疇です。

ボイル・シャルルの式についてはこちらをご覧ください。

 ➡空気は無料(タダ)ではありません!

 

しかしこれで求められる量というのは「体積」(L)です。問題で問われているのは「質量」(kg)です。しかも首尾よくkgを求めたとしても若干のクセがあります。では解答見ていきます。

①温度20℃、圧力15MPaの酸素。これが全て大気圧中に放出されたとした場合何Lになるか?

②温度15℃、圧力3.0MPaの酸素。これが全て大気圧中に放出されたとした場合何Lになるか?

③上記①と②の差を取れば使用した酸素の体積を計算できる。

ここまでのイメージを図1に示します。左の図の白い雲が①の状態を表します。右の図の黒い雲が使用した酸素量です。白い雲と黒い雲との差がボンベ内に残った酸素量です。

 

④酸素のモル質量と気体1L当たりのモル数から質量と体積の関係を求める。

⑤上記③と④から使用した酸素の質量を計算できる。

 

 

順に見ていきます。

 

 

①温度20℃、圧力15MPaの酸素を大気圧に開放するとボイル・シャルルの法則からその体積が計算できます。大気圧Pa=0.1MPa外気温をTa=15℃とします。(標準状態)

①の計算手順と計算結果
①の計算手順と計算結果

②温度15℃、圧力3.0MPaの酸素を大気圧に開放した場合を、同様に求めます。

②の計算結果
②の計算結果

③以上から使用した酸素は6144.9-1240=4904.9(L)となります。

④酸素O2のモル質量は32g/mol(酸素の原子量16、酸素分子O2より)

標準状態における気体1molの体積は22.4L(22.4 L /mol)です。

よって32÷22.4≒1.4g/L

⑤以上から4904.9×1.4≒6866.9≒6.9kgとなります。

解答欄を見ると最も近いものは「6.3kg」です。微妙に違いますが最も近い数字はこれです。この誤差についての考察は後述しますが解答解説は以上です。

 

 

クセがあるなぁと思うのはこの誤差ともう一つ、問題文にわざわざ気体定数が出てくるのですが特に使うことなく解けるという部分です。

一応モル気体定数8.314 J/(molK)を使って酸素O2のモル質量を算出することができます。

260J/(kgK)÷8.314 J/(molK)31.3(g/mol)

 

 

しかしモル気体定数8.314よりも酸素の原子量16、そしてそこから酸素の分子量32の方が覚えている人は多いのではないでしょうか。

 

誤差の考察

酸素ではなく空気で計算してみたらどうなるのだろうか?と疑問に思って計算してみました。次の通りです。

空気=酸素:窒素≒22%:78%

このとき空気のモル質量は32×0.22+28×0.78=7.04+21.84=28.88

これを使って算出します。

28.88/22.4≒1.29

1.29×4904.9≒6.3kg

 

おわりに

いろいろ厄介な問題です。解けた後もモヤモヤが残ります。

私が受験生だったらこの問題はパスします。もし仮に解いたとしてもズレがあることで悩むと思います。ですがそんな時でも悩んでる暇はありません。ざっと計算過程を確認して明らかな計算ミスがなさそうなら次に進みましょう。

 

*計算プロセスに間違いなどありましたらご指摘ください。

 ➡ありましたね。皆さまも思考の深みにはまらないようにお気を付けください。

おわり。