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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R2 Ⅲ-18

令和2年

Ⅲ-18

-18

図に示すように、質量m、半径rの一様材質で均一な厚さの円板が、壁とばね定数kのばねで接続され、床面を滑らずに転がりながら振動している。この振動系の固有角振動数として、最も適切なものはどれか。

 

 

図 18
図 18

解答

 

解説

[解くために必要な知識と周辺知識]

引張力Fxと回転トルクT0を受ける円板の運動(図18.1

 

 

図18.1
図18.1

◆この系における直線運動の運動方程式

 円板を引っ張る力をFx、床面から受ける摩擦抵抗力をfとします。さらに円板の質量をm、直線運動の加速度をaとします。

 ・F=ma=md2x/dt2=Fx-f

 

◆この系における回転運動の運動方程式

 円板に加わるトルクをT0、各加速度をα、慣性モーメントをI、円板の半径をrとします。

 ・T=Iω=Id2θ/dt2=T0+fr

円板の慣性モーメント I=mR2/2

 

なお、移動距離xと回転角度θは円板の半径を用いて次の関係があります。

 x=rθ

 

◆質量M、ばね定数Kを持つ1自由度系

運動方程式 Md2x/dt2+Kx

固有角振動数ωn=(K/M)

R2 Ⅲ-15参照ください。

 

 

*円板の慣性モーメントの式も含めて、上記関係は覚えておきましょう。

 

 

では問題を解いていきます。


問題の力関係を整理したものを図18.2に示します。

 

 

図18.2
図18.2

移動距離xとばね定数kから、円板を引っ張る力Fxは、

 Fx=kx   ・・・(1)

 

回転トルクは与えられていないため、

 T0=0   ・・・(2)

 

回転の運動方程式から

T=Id2θ/dt2=(mr2/2)×d2θ/dt2=fr

mr/2×d2θ/dt2=f  ・・・(3)

 

 

ここでx=rθより、θ=x/rを(3)に代入します。

mr/2×d2(x/r)/dt2=m/2×d2x/dt2=f ・・・(4)

 

直線運動の運動方程式から

F=md2x/dt2=kx-f

この式に(4)式を代入します。

md2x/dt2=kx-m/2×d2x/dt2

 

これを変形して整理すると次の通りです。

 3m/2×d2x/dt2-kx=0

 

M=3m/2 、 K=k 、固有角振動数は

  

ωn=(K/M)=(k/3m/2)=(2k/3m)  //