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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R2 Ⅲ-23

令和2年

Ⅲ-23

水が鉛直に250m落下し、滝つぼの底の岩を打っている。水の温度の上昇量として、最も近いものはどれか。ただし、重力加速度は9.8m/s、水の比熱は4.2kJ/(kgK)であり、水の蒸発や岩への伝熱などに伴う熱損失を無視する。

 

0.06K

0.1K

0.2K

0.6K

1.8K

 

解答

 

解説

[解くために必要な知識と周辺知識]

◆エネルギー保存則

 位置エネルギーが熱エネルギーに変換される。

質量mの物質が高さzにあるとき、その位置エネルギーはmgzとなります。

熱エネルギーの変化量はdQです。

 

 

 23.1に示すようにある系に熱量dQが与えられたとき、ある系の内部にdUのエネルギーが仕事をし、ある系の外部にdWの仕事をします。

 

図23.1
図23.1

ここで、mを気体の質量、pを気体の圧力、vを気体の体積、uを気体の内部エネルギーとします。

さらに、

dq:単位質量当たりの熱量(熱エネルギー)の変化量

dT:温度の変化量

ds:エントロピの変化量

 

◆エンタルピの定義と熱力学の第一基本式

エンタルピH、端子質量当たりのエンタルピh

H=mh

h=u+pv[J/kg]

dq=du+pdv

dq=dh-vdp

 

◆エントロピの定義と熱力学第二基本式

エントロピS、単位質量当たりのエントロピs

S=ms

ds=dq/T[J/kgK]

Tds=du+pdv

Tdq=dh-vdp

 

◆比熱の定義:1kgの物体温度を1K高める熱量

cdq/dT=Tds/dT [J/(kg/K)]

cdu/dT=Tpdv/dT=dh/dT-Tvdp/dT [J/(kg/K)]

 

◆定容(定積)比熱cvと定圧比熱cp、比熱比κ

du=cvdT

dh=cpdT

cp-cv=R

 

κ=cp/cv

 

*以上は熱力学の基本です。ここでは記述していませんが、熱力学の第一法則、第二法則とともに必ず覚えておきましょう。ここでは問題を解くための最低限の式の掲載にとどめていますが、余力があればもう少し深く学ぶことをオススメします。

 

では問題を解いていきます。

 

エネルギーの保存則および題意(熱損失を無視する)から、位置エネルギーが熱エネルギーに変換されて保存されます。つまり、

mgz=dQ=dmq

gz=dq

 

dq=gz=9.8×250=2,450

 

 

dT=dq/c=2,450/(4.2×1000)=0.58 K  //