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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R3 Ⅲ-25

令和3年

Ⅲ-25

熱伝導率k、厚さdの平板の片面が温度T1の流体と接し、もう一方の片面が温度T2<T1)の流体と接している。平板の高温側の熱伝達率をh1、低温側の熱伝達率をh2とし、それぞれ一定とする。平板内の熱伝導と低温側の熱伝達が高温側の熱伝達に比べて十分大きいとき、熱通過率として、最も適切なものはどれか。

 

①1/h2+d/k ②h2+k/d

③k/d   ④1/h1 

h1

 

 

解答

  

[解くために必要な知識]

図25.1 熱通過
図25.1 熱通過

25.1に示すように、厚みδ、熱伝導率λの平板が高温流体と低温流体に接しているときを考えます。高温側の温度がTf1、熱伝達率がh1、低温側の温度がTf2、熱伝達率がh2のとき高温流体から平板を通って低温流体への単位面積当たりの熱通過(これを熱流束といいます)qはと温度の関係は次の通りです。

 

 Tf1-Tf2=q(1/h1+δ/λ+1/h2)

 

 全熱抵抗 R=1/h1+δ/λ+1/h2

 熱通過率 k=1/R

 

 q=k(Tf1-Tf2)

 

*以上の関係は覚えておきましょう。

定常状態での熱流束q1=q2=q3=qとなるのがイメージできないと言われることがありますが、これは現象として高温流体から平板へ熱が10入ったら平板内は熱が10移動して低温側に10押し出される。結果として全体の熱移動量は10となるという事です。ところてんのようなイメージです。

 

では解答していきます。

 


 全熱抵抗 R=1/h1+δ/λ+1/h2

 熱通過率 k=1/R

より、熱通過率は

 k=1/(1/h1+δ/λ+1/h2)

 

問題より、高温側の熱伝達h1に比べて平板内の熱伝導率λと低温側の熱伝達率h2が十分大きいとあるので、熱伝導と低温側の熱伝達は無視できます。

(平板と低温側の熱抵抗がほぼゼロとみなせ、この領域での熱通過率はほぼ無限となる。つまりこの領域における熱抵抗は考えない、無視してよい。)

 

以上から、熱通過率は

 k=1/(1/h1)=h1   //