· 

技術士一次試験 専門科目 機械部門 R3 Ⅲ-29

令和3年

Ⅲ-29

図に示すように、流速Uの一様流中に2次元物体が固定されている。それを取り囲む矩形の検査体積ABCDを考える。主流方向をx、垂直方向をyとし、原点は境界ABの中点とする。点Aと原点までの距離をh、点Aから・Dまでの距離をLとする。境界AB上における主流方向速度はUで一定であり、境界CD上における主流方向速度のy方向の分布がu(y)で与えられるとき、2次元物体に働く奥行き方向単位長さ当たりの抗力を表す式として、適切なものはどれか。ただし、検査体積ABCDの境界は物体から十分に離れているものとし、境界ABCD上では圧力は一様とみなしてよい。また、流体は非圧縮性流体とし、その密度をρとする。

解答

 

解説

[解くために必要な知識]

運動量の法則

ある系に流入する流体が、その系に及ぼす力と流量Q、流入速度u1、流出速度u2、流体密度ρとの間には次の関係があります。

 

 ΣF=ρQ(u1-u2)

 

では問題を解いていきます。

 

 

境界ABにおける流体の圧力をP1、境界CDにおける流体の圧力をP2とします。またABCDそれぞれの領域における流体の通過断面積をAとします。

 

このとき境界AB、CDそれぞれでの流体の力F1F2

F1=P1×A

F2=P2×A

となります。

 

検査体積ABCD内に流体が及ぼす力、逆に言うとABCD内の抵抗力はF1からF2を引いたものになります。よって、

ΣF=F1-F2=P1×A-P2×A=(P1-P2)A

 

運動量の法則から

  ΣF=ρQ(u1-u2)

 

(P1-P2)A=ρQ{U-u(y)}=ρAu(y){U-u(y)}

 P1-P2=ρu(y){U-u(y)}

 

求める抗力Dは上式をy方向に-hからhまでを積分したものになります。

 

 D=ρ∫u(y){U-u(y)}dy

 

(積分範囲は-hからh) //