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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R3 Ⅲ-6

令和3年

Ⅲ-6

図に示すように、一様断面を持つ長さlのはりが、B端で固定され、A端に集中モーメントMoが作用している。このとき、はり全体に蓄えられるひずみエネルギーとして、適切なものはどれか。ただし、はりの曲げ剛性をEIとする。

 

 

解答

 

解説

6.1に示すように中立軸からの距離をyとすると、

 σ=Moy/I

 ε=Moy/EI

 

となります。

 

 

図6.1 先端にモーメントMoを受ける片持ちはり
図6.1 先端にモーメントMoを受ける片持ちはり

 

よって単位体積当たりのひずみエネルギーuは次の通りになります。

 u=1/2・σε=Mo2y2/2EI2

はりの断面積をAとすると長さlの梁に蓄えられるひずみエネルギーUは次の通り。

 

(A) :面積A全体を積分

∫  :0からlまでを積分

 

 U=[(A)Mo2y2/2EI2dA]dx=Mo2/2EI2(A)y2dAdx

  =Mo2/2EI2Idx=IMo2/2EIdx=Mo2l/2EI  //

 

 

*先端にモーメントを受ける片持ちはりの出題確率はあまり高くありません。関係式を一通りまとめますので、余力があれば覚えておきましょう。


先端に曲げモーメントを受ける片持ちはりに生じるせん断力は一様にゼロ、モーメントは一様にMoとなります。問題4の図4.3 SFDBMDを参照してください。

 

せん断力

 F=0(はり全体にわたり一様に)

 

モーメント

 MMo(はり全体にわたり一様に)

 

たわみ(固定端を基準、x=0とする。)

  y=-Mox2/2EI

 

最大たわみ(針の先端において)

   y=-Mol2/2EI

 

 

[参考]たわみの式の導出

 

6.2に示すように固定端を基準に左を+x方向とします。(自由端を基準に右を+x方向とした場合、導出プロセスが変わりますが結果は同じになります。)

 

 

図6.2 先端にモーメントを受けるはり
図6.2 先端にモーメントを受けるはり

はりの問題において、たわみyとモーメントM、剛性EIには次の基本的に次の関係があります。

 

 d2y/dx2=-M/EI

 

先端に曲げモーメントMoを受ける片持ちはりではモーメントはMoです。したがって、

 d2y/dx2=-Mo/EI

となります。これを積分します。

  dy/dx=-Mox/EI+C

 

固定端における境界条件のうちたわみ角がゼロより、

 x=0では、dy/dx=0

よって積分定数Cはゼロになります。

 

さらに積分します。

  dy/dx=-Mox/EI

  y=1/EI-Mox2/2+C1

 

固定端における境界条件のうち、たわみがゼロより、

 x=0では、y=0

よって積分定数C1はゼロになります。

 

  y=-Mox2/2EI