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人の行動について確認しよう!

本記事は、本質安瀬設計シリーズからの派生です。

本質安全設計その1

◆人は必ず失敗する。

◆はじめに

人は必ず失敗をします。失敗にはいくつかパターンがあります。意識せずに失敗してしまう。意識していても失敗してしまう。意識して故意に失敗する。

まずは人の失敗、ヒューマンエラーの分類から見ていきます。

 

◆ヒューマンエラーの分類

人が行動に至るまでには「認知」➡「判断」➡「行動」の3段階ありそれぞれに発生の可能性があります。そしてその発生レベルには「(スキル)不足」「過失」「故意」の3つがあります。

例えば、認知が不足していれば無知、無理解によるエラーが発生します。また、判断に過失があれば誤判断に繋がりますし、場合によっては「削ってはいけないけれど組立できないから削ってしまおう」などと故意に判断を誤ることもあります。

 

人が行動に至るには認知、判断、行動の3段階を経て、失敗のレベルにはスキル不足、過失、故意の3レベルがあります。
図 人の失敗行動の分類

1.認知

不足で起こる「無知、無理解」と過失で起こる「誤った認識」の2つに分かれます。

 

認知が原因でエラーが起こる場合は正しい知識、方法を教育する必要があります。

2.判断

スキル不足、過失、故意による誤判断があります。スキル不足や過失が原因であれば正しく判断できるようにする必要があります。詳しくは後述しますが、指差呼称などの意識フェーズを上げることを行います。

故意が原因の場合は、故意にできないようにするあるいは故意に誤判断する必要がない仕組みを作る必要があります。現場サイドで(誤)判断して削らなくとも確実に組立ができる設計。削ろうと(誤)判断しても削ることができない環境など。

 

認知との違いは正しく理解している状態にいるが、判断を誤ってしまうということです。削ってはいけないことを知らない、あるいは削ってもいいと誤って認識している状態が認知の問題です。

 

3.行動

スキル不足で起こる「できない」スキル不足や過失から起こる「スリップ、ラプス」故意に起こす「近道、省略」「違反、不遵守」があります。

スキル不足で起こるできないは訓練の必要があります。故意に起こす近道や違反などは教育だけでは限界があります。できない仕組みを構築するのが最良ですが、故意の行動には罰則を設けることも時には必要になります。

スリップ、ラプスについて補足します。

 

スリップとは行動段階での間違いによるエラーのことです。思い違いや確認ミスとも言えます。スタートボタンを押そうと思っていて、それは正しい手順なのについつい停止ボタンを押してしまった。ブレーキを踏むはずが確認ミスでアクセルを踏んでしまったなどがあります。

 

ラプスとは行動段階での抜けによるエラーのことです。バルブを1,2,3の順で閉めていく手順でそれは正しい手順なのにうっかりバルブ2を閉め忘れて1➡3の順で閉めてしまった。といったうっかり忘れが該当します。

 

スリップとラプスはどちらも注意力が散漫なときやぼーっとしているとき、あるいは「焦っているとき」に起こります。つまり人の意識に関係しています。

 

◆人の意識フェーズ

人の意識は5段階のフェーズがあり、意識フェーズ次第で誤判断やスリップ、ラプスといったヒューマンエラーが発生しやすくなります。

意識フェーズ0~4の5段階それぞれの詳細とエラー発生率です。
図 人の意識フェーズとその状態によるエラー発生率

作業中は意識フェーズを2~3に保つことが重要です。そのために現場では朝一のラジオ体操に始まり、朝礼、KY(危険予知)活動、TBM(ツールボックスミーティング)、設備の点検、指差呼称などのルーチンを行ってから作業に入ります。

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