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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R1 Ⅲ-2

令和1年

Ⅲ-2

図に示すように、2本の棒からなるトラス構造において、接点Oに下向きの荷重Pが作用し、破線のように変形した場合を考える。各接点は滑節で、棒の自重は無視できるものとするとき、接点Oの下向きの微小変位δとして、最も適切なものはどれか。ただし、棒の断面積をA、縦弾性係数をEとする。

図2
図2

解答

 

解説

[解くために必要な知識]

 ウィリオの作図法を使います。ウィリオの作図法とは、次の手順で変位を求めるものです。

 

まず2本の棒材が滑節(ピン結合)で図2.1に示すように壁面に固定されていてO点に鉛直下向きの荷重Pがかかっている場合を考えます。

図2.1
図2.1

このときO点の移動先O‘を求める手順は次の通りです。

  ①部材1の伸び、δ1を求める。

  ②部材2の伸びδ2を求める。

  ③O点から部材1がδ1延びた先を描く。

  ④上記③の先端から90°の線を描く。

  ⑤O点から部材2がδ2延びた先を描く。

  ⑥上記⑤の先端から90°の線を描く。

  ⑦上記④と⑥の交点がO点の移動先O’となる。

 

では問題を解いていきます。

 

 

 上側の棒を1、下側の棒を2とします。Pを作用させたとき、図2.2に示すように棒1に生じる張力をT1、棒2に生じ圧縮力をT2とします。それぞれを水平方向hと鉛直方向vの成分に分解します。 

図2.2
図2.2

◆まず水平方向および鉛直方向の力の釣り合いを考えます。

 

水平方向 T1h+T2h=0    (1)

鉛直方向 T1v+T2v=P   (2)

 

◆次に各分力を求めます。

 

 水平方向

  T1h=T1sinθ

T2h=-T2sinθ

この2式と(1)式から次の関係が得られます。

  T1T2        (3)

 

 鉛直方向

  T1v=T1cosθ

  T2v=T2cosθ

この2式と(2)(3)式から次の関係が得られます。

  P=2Tcosθ 

  T=P/2cosθ     (4)

 

◆さらに各棒の伸びを求めます。

 棒1の長さL1=L/siinθ (5)

 棒1の伸びδ1=TL1/AE (6)

 (4)(5)式を(6)式に代入します。

 

  δ1=PL/(2AEsinθcosθ)

 

ここで、図2.3に示すようにウィリオの作図法からδとδ1には次の関係があります。

  δ=δ1/cosθ

 

  δ=PL/(2AEsinθcos2θ)  //

図2.3
図2.3