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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R1 Ⅲ-34

令和1年

Ⅲ-34

図に示すように断面積Aの曲がり管が一体化した剛体棒を介して点Xで固定支持されている。曲がり管の中には密度ρ、平均流速Vの液体が流れ、定常状態となっている。このとき、点Xに作用するトルクTxを表す式として最も適切なものはどれか。ただし、断面1と断面2におけるゲージ圧をそれぞれp1p2(p1>p2)とし、断面19と断面2における中心軸と点Xn距離をそれぞれh1,h2とする。また、断面1と断面2にトルクは作用しないものとし、重力の影響は無視してよい。

解答

 

解説

[解答に必要な知識]

非圧縮性・定常流における運動量の法則

 ΣFx=ρQ(V2x-V1x)

 ΣFy=ρQ(V2y-V1y)

 

 

34.1に示すように流路断面積A1をもつ流体が圧力p1、速度V1で曲がり壁面に角度α1で衝突し、壁面に沿って角度α2の方向に圧力p2、速度V2で流出したとします。

 

このとき流体が壁面に及ぼすx方向、y方向それぞれの力は次の通りです。

図34.1 曲がり管内の流れ
図34.1 曲がり管内の流れ

1.壁面が流体に及ぼす力

 X方向 -Fx

 Y方向 -Fy

 

2.流体の圧力差により発生する力

 X方向 p1A1cosα1p2A2cosα2

 Y方向 p1A1sinα1p2A2sinα2

 

 

 

3.速度の分解

 X方向 V1x=V1cosα1V2x=V2cosα2

 Y方向 V1y=V1sinα1V2y=V2sinα2

 

運動量の法則から、1.壁面が流体に及ぼす力+2.流体の圧力差により発生する力=ρQ(V2-V1)となります。

 

 Fx=ρQ(V1cosα1V2cosα2)+p1A1cosα1p2A2cosα2

 Fy=ρQ(V1sinα1V2sinα2)+p1A1sinα1p2A2sinα2

 

ここで、α1=0(流体の流入角度がゼロ)とするとcosα1=1sinα1=0となるので、上式は次の通りになります。

 

 Fx=ρQ(V1V2cosα2)+p1A1p2A2cosα2

 Fy=ρQV1sinα1p2A2sinα2

 

*一番最後に出てくる2式は覚えておきましょう。

 

では問題を解いていきます。

 

断面1の流体が持つ力をF1とします。流体の流入角度α1=0、流体の流出角度α2=0のため、断面1、2それぞれにおける流体の力F1F2は次の通りになります。

 

 F1=p1A+ρAV2

 F2=p2A+ρAV2

 

それぞれの力により生じるトルクは次の通りになります。

 T1=T1h1=(p1A+ρAV2)h1

 T2=T2h2=(p2A+ρAV2)h2

 

Xに作用するトルク

 Tx=T2T1=(p2A+ρAV2)h2(p1A+ρAV2)h1

 Tx=(p2h2p1h1)A+ρAV2(h2h1)   //