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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R2 Ⅲ-27

令和2年

Ⅲ-27

2m、高さ2m、厚さ30mmのコンクリート壁において、片面の表面温度が32℃、もう一方の面の表面温度が4℃で一定となっている。このとき、壁を通過する単位時間あたりの熱量として、最も近い値はどれか。ただし、コンクリート壁の熱伝導率を1.8W/(mK)とする。

 

① 6.7kW  ② 3.7kW  

③ 3.4kW  ④ 1.7kW  

⑤ 0.7kW

 

 

解答

 

 

解説

[解くために必要な知識と周辺知識]

 

高温流体と低温流体を仕切る厚さδの壁(平板)に関する熱伝導と熱伝達のイメージを図27.1に示します。

伝熱のもう一つの形態、熱輻射に関してはⅢ-29を参照ください。

図27.1
図27.1

Tf1  :高温流体温度

Tf2  :低温流体温度

Tw1 :高温側壁面温度

Tw2 :低温側壁面温度

 

h1   :高温流体と壁面との熱伝達率

h2   :低温流体と壁面との熱伝達率

λ  :壁内部の熱伝導率

 

高温流体側から低温流体側へ単位時間に移動する熱量をQ[W]とします。

単位面積当たりの移動量を、熱流束q[W/m2]といいます。

 

 

 

単位面積当たり、高温流体から壁面へ単位時間に移動(熱伝達)する熱流束をq1、壁内部を高温側から低温側へと単位時間に移動(熱伝導)する熱流束をq2、壁面から低温流体側へ単位時間に移動(熱伝達)する熱流束をq3とします。

 

このとき、定常状態であれば熱流束qは次の関係があります。

q1=q2=q3=q

 

q1=h1(Tf1-Tw1)  

 → Tf1-Tw1=q1/h1  (1

 

q2=λ/δ(Tw1-Tw2)

 → Tw1-Tw2=δ/λ×q2 (2

 

q1=h1(Tf1-Tw1)  

 → Tw2-Tf2=q2/h2  (3

 

1)、(2)(3)式より、

Tf1-Tf2=q(1/h1+δ/λ+1/h2)

 

R=(1/h1+δ/λ+1/h2) ・・・全熱抵抗

 

k=1/R ・・・熱通過率

 

q=k(Tf1-Tf2)

 

*以上、平板の熱通過に関する基礎知識は覚えておきましょう。あわせて円管の熱通過に関しても覚えておきましょう。

 

では問題を解いていきます。

 

問題の状態を図27.2に示します。本問題ではコンクリート壁の伝熱のみを考えればよいため、熱伝達はありません。

図27.2
図27.2

熱伝導の式は上記(2)式から

q=λ/δ(Tw1-Tw2)

q=1.8/(30×10-3)×(32-4)=1680 [W/m2]

Q=q×A=1680×[2×2]=6720 [W]   //