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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R2 Ⅲ-29

令和2年

Ⅲ-29

室温20℃の大きな部屋で、表面温度427℃、放射率0.7の平板を20℃の空気により強制的に冷却している。平板表面での対流熱伝達率を20 W/(m2K)とするとき、平板から放熱される熱流束として、最も近い値はどれか。ただし、平板の裏面と側面は断熱されているものとする。また、ステファン・ボルツマン定数は5.67×10-8 W/(m2K4)である。

 

① 1 kW/m2  ② 9 kW/m2  

③ 17 kW/m2   ④ 21 kW/m2  

⑤ 30 kW/m2

 

解答

  

解説

[解くために必要な知識と周辺知識]

熱の伝わり方、基本の3形態

(1)物体内部の熱の移動を熱伝導。

(2)流体を介した熱の移動を熱伝達。

(3)電磁波の形での熱の移動を熱輻射

と言います。

地球上には大気があるので離れた物質間の熱伝達が大気によって行われます。しかし宇宙空間では熱伝達を行うための流体がほぼないため熱伝達があまり行われません。とはいえ、宇宙空間であっても熱輻射により離れた物質間の熱移動が行われます。

 

 

単位面積当たりの輻射(ふくしゃ)エネルギーEbは次式の通りです。

 

Eb=εσT4

 

ただし、εは輻射率(放射率)。またσはステファン・ボルツマン定数でその値は5.67×10-8 W/(m2K4)です。

輻射(放射とも)とは、熱せられた物体の内部エネルギが電磁波の形で放出される現象です。

 

熱伝導と熱伝達に関しては-27を参照ください。

 

*熱の伝わり方の3形態と関係式は覚えておきましょう。また、本問題ではステファン・ボルツマン定数が与えられていますが、5678とゴロもよく覚えやすいのでこちらも覚えておきましょう。

 

 

では問題を解いていきます。

 

◆熱伝達による熱流束q1

熱伝達の式から熱流束q1は次の通りです。

q=h×(T1-T2)

h :熱伝達率

T1 :高温側温度(単位はK

T2 :低温側温度(単位はK

 

q1=20×[(274+427)-(273+20)]=8140 W/m2

 

◆熱輻射による熱流束q2

輻射エネルギーq2は次の通りです。

q2=εσT4=0.7×5.67×10-8×(273+437)4=9530 W/m2

 

◆全熱流束q 

q=q1+q2=8140+9530=17670  W/m2  //