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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R3 Ⅲ-7

令和3年

Ⅲ-7

図に示すように、同一材質、同一長さで、外形寸法が等しく断面積費が2:1の中実丸棒Aと中空丸棒Bの一端が剛体壁に固定され、他端に等しいねじりモーメントTが作用しているとき、中実丸棒Aに生じる最大せん断応力τAと中空丸棒Bに生じる最大せん断応力τBのτB/τA比の値はどれか。

 

 

解答

 

解説

[解くために必要な知識]

平成30年度に全く同じ問題が出ています。

 

 

7.1に示すように、片端を固定し、反対側にトルクTをかけられた長さL、半径Rの中実丸軸に関する各種関係式は次の通りです。

 

 

図7.1 ねじりモーメントを受ける中実丸棒
図7.1 ねじりモーメントを受ける中実丸棒

・極断面係数  Zp=πd3/16

・断面二次極モーメント Ip=πd4/32

・ねじり角   ψ=TL/GIp ⇒ ψ=32TL/Gπd4

*ψはプサイと読みます。

・比ねじり角θ θ=ψ/L

・せん断ひずみ γ=Rθ

・せん断応力  τ=Gγ=GRψ/L

・ねじりトルクTとせん断応力τの関係

 T=τIp/R 、τ=T/(Ip/R)=T/Zp ⇒ τ=16T/πd3

 

7.2に示すように、片端を固定し、反対側にトルクTをかけられた長さL、半径Rの中空丸軸に関する各種関係式は次の通りです。

図7.2 ねじりモーメントを受ける中空丸棒
図7.2 ねじりモーメントを受ける中空丸棒

・極断面係数  Zp=π(d24-d14)/16d2

・断面二次極モーメント Ip=π(d24-d14)/32

・ねじり角   ψ=TL/GIp ⇒ ψ=32TL/Gπ(d24-d14)

・比ねじり角θ θ=ψ/L

・せん断ひずみ γ=Rθ

・せん断応力  τ=Gγ=GRψ/L

・ねじりトルクTとせん断応力τの関係

 T=τIp/R 、τ=T/(Ip/R)=T/Zp ⇒ τ=16d2T/π(d24-d14)

 

*少し複雑に見えますが、まずは中軸丸棒のねじりの関係式を覚えましょう。中空丸棒はそれとの対比で覚えましょう。

軸の引張とねじりの関係は似ています。参考までに図7.3にまとめます。

 

 

図7.3 丸棒の引張とねじり
図7.3 丸棒の引張とねじり

では問題を解いていきます。

◆中実丸棒に生じる最大せん断応力τA

 τA=16T/πd3

 

◆中空丸棒に生じる最大せん断応力τB

 内径d1=d/2

 外径d2=d

 

 τB=16dT/π[d4-(d/2)4]

 τB=16T/πd3(1-1/4)=16T/(3/4)πd3

 τB=4/3×16T/πd3  //