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歩留まりと直行率

製造工程における不良率


はじめに

製造工程の良し悪しを計る最も重要な指標にタイトルにもあげている「製造工程における不良率」があります。

この不良率には2つあります。混同している現場も見受けられますので2つの名称と定義をまず明確にしておきます。

 

歩留まり(ぶどまり)

歩留まりとは、検査で1度不合格になったが回収手直し後に合格となったものを含めた最終合格品の比率のことになります。

 

直行率(ちょっこうりつ)

直行率とは製造工程におけるすべての検査を一発合格したものの比率のことになります。

 


ケーススタディ

いま自動ねじ締め機で3カ所のねじ締めを行うことを考えます。締め付けトルクの設計値は2N/m±10%とします。つまり1.8N/mから2.2N/mが合格範囲になります。

ワーク10個に対しねじ締めを行い増し締めトルクを測定した結果が表1~3の通りになりました。

 

表1

ねじ1の締付トルク結果
ねじ1の締付トルク結果

表2

ねじ2の締付トルク結果
ねじ2の締付トルク結果

表3

ねじ3の締付トルク結果
ねじ3の締付トルク結果

ねじ1はワークNo.1とNo.9で上限トルク不良が発生しています。ねじ2は全部合格。ねじ3はNo.1とNo.7、No.9で下限トルク不良が発生しています。

不良はトータル不良品としてはNo.1,2,7,9の4つになります。

よって直行率は(10-4)/10×100=60%となります。

 

*増し締めトルク:一定のトルクで一度締めつけたねじを増し締め方向にトルクをかけてねじがまわったときのトルクを確認する方法。回り出した瞬間にトルクの値は極大値を取り、少しトルク値が下がります。さらにトルクをかけるとトルク値が極小値をとり増加に転じます。この極小値が『増し締めトルク値』になります。

 

4つの不良品を回収してトルク不良のねじを締めなおして設計範囲に納めれば合格品となります。3つが手直しで合格となったとすると、歩留まりは(10-4+3)/10×100=90%となります。

*例えばねじ山不良などがあった場合、回収して締めなおしても設計範囲内に納めることができないことがあります。

 

おわりに

さてここで、「不良率を改善する」というテーマがあったとします。製造工程で不良をたくさん出してしまっても、回収・手直しして合格品となれば不良率の一つ「歩留まり」は改善されます。このためには不良を確実に検出して不良に応じた対処を決める必要があります。

 

これは現場の負荷が増したとしても不良品廃棄を無くすためには重要な活動です。

一方で現場に負荷をかけることなく不良率を改善するためには「直行率」の改善が必要です。そのためには設備そのものや工程内作業方法などの改善が必要になってきます。

直行率は「その製造工程の実力を表すもの」と考えると良いかと思います。

 

不良率の改善と言っても、直行率と歩留まりと分けて考えることでどのような対応が必要なのかが変わってきます。

 

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次回は、本記事で扱ったねじ締めのデータから直行率の改善についてです。


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