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技術士一次試験 専門科目 機械部門 R1 Ⅲ-18

令和1年

Ⅲ-18

図のように長さlの軽い糸の先に質量mのおもりをつけた単振り子に、最下点で水平にv0の初速を与える。v0が小さいとき、おもりの運動は鉛直面内の最下点付近に限られ、θ=Asin(ωt)で表される単振動となる。この振幅Aとして最も適切なものはどれか。ただし、ωは角振動数、tは時間であり、gは重力加速度とする。

 

 

解答

 

 

解説

[解くために必要な知識と周辺知識]

エネルギー保存則

◆質量mの物体が速度vで直線運動しているときの運動エネルギ―EM

  EM=1/2mv2

  

◆質量mの物体が高さhの位置にあるときの位置エネルギーEH

  EH=mgh

 

 

図18.1 自由落下
図18.1 自由落下

例:図18.1のように質量mの物体が高さhの位置から初速ゼロで自由落下運動をするとき、地面に衝突するときの速度を求めます。

 高さhにあるときの位置エネルギーはmghです。地面に衝突時の速度をvとすると、衝突直前における運動エネルギーは1/2mv2です。この二つはエネルギー保存則から等しくなります。

 1/2mv2=mgh

 v2=2gh

 v=(2gh)

 

*運動エネルギーと位置エネルギー、エネルギー保存則の関係は覚えておきましょう。

 


半角の公式

 sin2(θ/2)=(1-cosθ)/2

 

θが微小のとき

 sinθ≅θ

 

*三角関数の基本的な性質は覚えておきましょう。

 

では問題を解いていきます。

 

 

図18.2 振り子の状態
図18.2 振り子の状態

 

θ=Asin(ωt)より、θを求めればそれが振幅です。(sin(ωt)=1のときの値)

18.2に示すように、おもりが最上点に達したときの最下点との差(高さ)をHとします。このときHは図から明らかなように、H=L-Lcosθとなります。

 

 

よって最上点にあるときの位置エネルギーEHは次の通りです。

 

 EH=mgL(1-cosθ)

 

一方、最下点での速度をv0とすると運動エネルギーEMは次の通りです。

 EM=1/2mv02

 

エネルギー保存則から

 

mgL(1-cosθ)=1/2mv02

1-cosθ=v02/2gl   (1)

 

半角の公式より

1-cosθ=2sin2(θ/2)

 

θが微小のとき、

 2sin2(θ/2)2(θ/2)2=θ2/2

 

よって(1)式は次のようになります。

 θ2/2=v02/2gl

 θ2=v02/gl

 

 θ=v0/(lg)     //