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◆タグチメソッド~実験計画~

◆世界一わかりやすい実験計画の解説。

実験計画法(タグチメソッド、パラメータ設計)について、分かりやすいサイトないかなぁと検索してみるとたくさん出てくるのですがどれもイマイチよくわからない。

というわけで自分でまとめました。

 

◆実験計画法

温度、圧力、速度、etcいろいろと設定できる項目、つまり設定項目があって何をどのように設定すればいいかを調べたいときに効率よく実験する方法が実験計画法です。

例えば、樹脂を超音波で溶着することを考えます。超音波溶着はホーンと呼ばれる金属部品を樹脂に接触させて超音波を発振し、熱エネルギーに変換して樹脂を溶かし付ける接着方法です。このとき①ホーンを樹脂に押し付ける力②超音波の周波数③振幅エネルギー④超音波の発振時間⑤ホーン下死点での保持時間⑥発振中の押し込み量などが設定項目としてあります。これら設定項目を因子と呼びます。

超音波溶着に使用するホーンのイメージ図です。
図1 溶着用ホーンのイメージ図

仮にそれぞれの項目に2つの数値を設定した場合、例えば①ホーンを樹脂に押し付ける力を100kgと200kgという具合に、その組み合わせは2の6乗で64通りあります。64通りの組み合わせ全て実験してもよいのですが、「L8直交表」というものを使って「実験を計画」すれば実に8通りの組み合わせで各設定項目が結果にどのように影響を及ぼすか評価できます。

 

直交表にはたくさんの種類がありますが、ここではL8直交表に絞って話を進めます。

 

◆L8直交表を使った実験

因子が7つまでで因子それぞれの設定値に2つの水準がある場合に使用します。

図2のように各因子の水準を、例えば最大値と最小値など、2つ取ります。因子が7つで水準が2つあるとき、総当たりでは2の7乗で128通りの組み合わせになりますが、図3に示すL8直交表を使えば8つの組合せの実験で各因子が結果に影響する度合いを評価することができます。

実験1ではすべての因子を水準1に設定して行います。実験2では因子1~3を水準1、因子4~7を水準2に設定して行います。以下省略、図3の通りです。

 

7つの因子に2つの水準を設けます。
図2 7つの因子と2つの水準
L8直交表です。7つの因子2つの水準を総当たりでは128通りになりますがL8直交表では8通りの組合せで確認できます。
図3 L8直交表

 

各実験で得られる結果、たとえば溶着なら溶着強さや溶着高さなどを図4に示す特性値μの欄に記入します。

8通りの実験結果から得られるデータをμとします。
図4 特性値μ

各因子の水準毎に特性値の平均値を出します。図5の通りです。例えば因子2の場合、水準1で行った実験は1,2,5,6で水準2で行った実験は3,4,7,8で、それぞれの平均値を計算します。得られた結果をグラフ化すると図6のようなものが得られます。これを要因効果図と言います。この図からどの因子がより結果に影響を及ぼしているかがわかります。図5の例では因子1や4が大きな影響を及ぼしており、因子2や5は影響が少ないことが分かります。

各因子の水準毎の結果の平均値を算出します。
図5 結果の整理

解析の結果得られた数値をグラフ化したものです。
図6 要因効果図

◆外乱の影響を最小にする。

圧力や周波数のように制御できる設定項目とは別に制御できないものがあります。外乱と呼ばれるものです。例えば外気温や湿度、使用する材料そのもののバラつきなどです。制御できる設定項目のことを制御因子、外乱のことを誤差因子とも呼びます。誤差因子の影響を調べて、影響度合いを調べる方法を見ていきます。

まずは誤差因子が一つの場合です。

制御因子は直交表で実験の組合せを決定します。誤差因子は例えば材料の重要寸法としてその最大値N1のサンプルを使い制御因子を直交表にふった実験8通りを行います。次に材料寸法の最小値N2のサンプルを使い8通りの実験を行います。

N1サンプルで制御因子を実験1の設定で行い得られた結果をμ11とし、N2サンプルで実験1の設定で行い得られた結果をμ12とします。

μ11とμ12の平均値をμ1、SN比をη1とします。

ここでSN比は次の式で計算されます。

η=10×log10(μ^2/σ^2)

さらにσとは標準偏差のことで次の式で計算されます。

σ12^2=[ (μ11-μ1)^2+(μ12-μ1)^2] /N

σ22^2=[ (μ21-μ1)^2+(μ22-μ1)^2] /N

・・・

Nは外乱の水準数です。ここでの例では重要寸法の最大値と最小値の2つとすればN=2です。

 

制御因子は直交表に割り付けて、誤差因子はその外側に割り付けます。
図7 誤差因子の割付

図8,9のようなSN比と平均値それぞれの要因効果図を書きます。SN比は大きいほどバラつきが少なく安定していることを意味します。図8の例では因子3は水準2の方が明らかに大きく水準1の結果は低くなっています。つまり因子3は水準2に固定した方が結果は安定するということになります。まずは各因子をSN比が高くなる水準に設定します。次にその設定で得られた結果の平均値が狙い値よりも高い、あるいは低い場合、いくつかの因子を変更して調整することになります。このとき、因子3をいじってしまうと結果の平均値はたいして変動がないにもかかわらず、SN比は大きく変化してしまいます。一方で因子5をいじると、結果の平均値を高くあるいは低く調整しやすくかつSN比の変動はほとんどありません。よってこの場合では結果の平均値を調整するためには因子3よりも因子5をいじった方が良いということになります。

SN比を算出したらその要因効果図を作成します。
図8 SN比の要因効果図
N1とN2実験結果の平均値から要因効果図を作成します。
図9 結果平均値の要因効果図

◆誤差因子がたくさんある場合

誤差因子はできれば一つに絞ったうえで前述のような解析をするのが良いのですが、なかなか難しい場面もあります。誤差因子が複数ある場合はN1の条件とN2の条件を予備実験で決定しておきます。

つまり誤差因子を直行表に割り付けて実験を行い得られた要因効果図から結果が最小となる誤差因子水準の組合せ(青丸)をN1、最大となる誤差因子水準の組合せ(赤丸)をN2とします。

 

誤差因子の影響を要因効果図から評価します。
図10 誤差因子の要因効果図

◆おわりに

今回はL8直交表に絞っての話でしたが、水準が3つある場合や、水準2つと3つの組合せ、制御因子がもっと少ない場合や多い場合は、ググればいっぱい出てきますのでここでは紹介しませんが、また違う直交表があります。

L8直交表を使った実験計画でも128通りが8通りの組合せとなるのでそれなりに効率化が図れると思います。

 

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